こんにちは。獣医師の竹中です。 今回はネコちゃんの鼻血の原因についてです。 鼻から血が出ていても、一概に鼻の中に出血の原因がある というわけではありません。 原因としてあげられるのは・・・ ①ネコ風邪 ②鼻の中のできもの ③高血圧 ④歯の根元の細菌感染 ⑤凝固異常(血が固まりにくい) など ①ネコ風邪 ウイルス感染による鼻炎で、 他にも症状として目ヤニが出ます。 季節の変わり目や高齢など 免疫力が低下している時に発症します。 鼻血が出てしまうのは、 ネコ風邪が慢性化してしまった子に多いです。 ②できもの 鼻の中にできものがあり、 できものが大きくなると 顔の形が変わってしまう子もいます。 できものの有無を調べるには、 レントゲン検査など画像診断が必要になります。 ネコちゃんに多いとされているのはリンパ腫という癌です。 癌の種類を確定させるには、鼻に細い管を入れたりして 生検をする必要があります。 ③高血圧 血圧が高すぎると、 興奮時や運動時に鼻の中の細い血管が切れてしまいます。 腎不全の子は高血圧になりやすいため、 確認には、 血圧測定と腎臓の項目の血液検査が必要になります。 ここで問題になってくるのが、 ネコちゃんは病院に来ると 大体の子が興奮で血圧が高めに出てしまうので、 正確な数値を出すことが難しいことです。 そこで、まず血液検査をして、 腎不全が見つかった子には 血管を広げるお薬(血管拡張薬)を開始します。 これによって腎臓の負担も減らせますし、 血圧の低下も狙えます。 お薬を飲み始めて鼻血が出なくなったようであれば、 高血圧によるものと分かります。 ④歯 歯周病によって、 上顎の犬歯などの 鼻に近い部位の歯の根元が膿んでしまい、 上あごが溶けてしまっているパターンです。 歯科用のレントゲンで撮影することで 正しく診断をすることができます。 ⑤凝固異常 血を固める成分が 生まれつき少ない病気にかかっているなどです。 他にも、慢性的な炎症疾患にかかっている場合、 血を固める血小板が少なくなり、 簡単に出血することがあります(DIC)。 お薬で改善するものもあれば、 抜歯などの外科処置が必要になったりするものもあり、 治療方針が全く変わってきます。 検査によっては高額になるものもあるため、 まずは受診していただいて、 ご家族と話し合いながら 一緒に検査や治療方針を決めることが大切だと思います。
【ネコちゃんの鼻血】
2020年10月19日