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【犬の胆嚢粘液嚢腫】

2021年2月1日

「胆嚢」は袋状の臓器で、
肝臓で作られた消化液「胆汁」を貯めて濃縮し、
腸の中を食べ物が通った時に胆汁を排出する
役割をもっています(イラスト)。
胆汁は本来サラサラの液体ですが、様々な原因により
ゼラチン状になったり砂状になったり、
結石(胆石)になったりします。
この原因は不明なことが多いですが、
甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、脂質代謝異常、
胆嚢の細菌感染などが原因となる場合があります。

 

今回挙げる病気は「胆嚢粘液嚢腫」です。
胆嚢内に「ムチン様物質」というネバネバの物質が溜まって
パンパンに膨らんだ状態で、
これによって胆嚢の壁が徐々に壊死し、
ついにはこの壁が破れて胆汁がお腹の中に漏れ出し、
重篤な腹膜炎を起こす恐ろしい病気です。
このムチンが溜まる原因は現在のところ解明されていません。



この病気は一時的に(例:半日だけ)食欲が低下する等、
ほぼ無症状のことが圧倒的に多いです。
突然の元気消失・食欲廃絶・黄疸など
症状がはっきり出ている時には、
粘液嚢腫のせいで
胆嚢が破裂といった重篤な状況に陥っていることが多いです。



エコー画像では次のように見えます。
よくキウイフルーツ様と例えられます。





実際に、胆嚢粘液嚢腫の子のお腹を開けてみると
胆嚢が大きく膨らみ、胆嚢の壁が薄くなっているのが分かります。





胆嚢の中を開けると、
ネバネバのムチン様物質が大量に出てきました。
ここまで病態が進行すると、
このネバネバが自然にあるいは
内服薬で排出されることはありません。




胆嚢粘液嚢腫の治療は
軽度の場合は内服薬で改善をするか経過を観察しますが、
改善がない場合は手術によって胆嚢を摘出する必要があります。


胆嚢を摘出しても
肝臓から十二指腸への胆汁の流れは保存されますので、
胆嚢を取ってしまっても問題はありません。


たとえ普段無症状であっても、
エコー検査で胆嚢内に多量の固形物のようなものが見え、
さらに内服薬で治療していても、
胆嚢内の固形物が減らない、胆嚢が大きくなっていく、
血液検査で肝臓の数値が下がらないなど、
胆嚢の状態が悪くなり続けていると考えられる場合は
胆嚢を摘出する手術を勧めています。


また、胆嚢粘液嚢腫の子は
肝臓に異常があることがほとんどなので、
胆嚢摘出と同時に肝臓をごく少量切除して病理検査に出し、
どのような異常が肝臓にあるのかを調べ、
術後の治療に役立てます。


このように胆嚢疾患は
放っておくと命にかかわる疾患です。
健康診断で偶然見つかることも多いので、
普段は元気でも年に1~2回の健康診断で早期発見に努めましょう。


げんき動物病院
獣医師 竹中千瑛